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(1/3)
バンビ「さてと、今日はお昼、どこで食べようかな……あれ? 琉夏くん。」
琉夏「○○ちゃん。 これからお昼?」
バンビ「そうだよ。 琉夏くんもでしょ?」
琉夏「俺、もう食った。」
バンビ「もう!? 早いね……」
琉夏「まあね。 これからグラウンドでーー 」
???「いやがった。 おい、ルカ!」
バンビ「あ、琥一くん。」
琥一「おう。 ルカ、急げ。 試合始まんぞ。」
琉夏「あいよ。」
バンビ「ねぇ、試合って?」
琉夏「サッカー部とフットサル同好会で試合やるんだ。 俺、助っ人。」
バンビ「わぁ! なんだかすごく高校生らしい! 琥一くんも出るの?」
琥一「出るかメンドクセー。」
琉夏「コウは、マネージャーだよ。」
バンビ「 ? 」
琥一「おら、行くぞ。 客待たせんじゃねぇよ。」
バンビ「 ??? 」
琉夏「そんじゃ。 で? 今日の段取りは?」
琥一「ぎりぎりまで引っ張れ。 いかにも接戦て構えだ。 そうすりゃこの次もよ……」
バンビ「(なんだか高校生らしくない匂いがする……)」
(2/3)
バンビ「さてと、今日はお昼、屋上で食べようかな……あれ? 琉夏くん。 これからお昼? よかったら一緒にーー」
琉夏「俺もう食った。」
バンビ「もう!? あ、もしかして……」
???「おい、ルカ!」
バンビ「琥一くん。」
琥一「ルカ、急げ。 体育館だ。」
琉夏「あれ? グラウンドじゃねぇの?」
琥一「サッカーはもうやめだ。 フットサルのやつら、払いは悪ぃくせに、条件つり上げてきやがった。」
バンビ「払いって!? ねぇ、ちょっとーー」
琉夏「じゃあ、体育館って?」
琥一「バスケ部と同好会が3オン3やんだと。 前払いでいいそうだ。」
琉夏「それだ。」
バンビ「ちょっと待って、まさか、前払いって……」
琉夏「みんな助っ人のお礼に色々くれるんだ。 俺ら、いい、いいって言ってるんだけど。」
バンビ「…………」
琉夏「でもさ、コウ。 相手、バスケ部だろ? 負けちゃうかもよ?」
琥一「ククッ、そこだ。 どう転んでも損しねぇ方法があんだよ。」
バンビ「なんか、怪しい……」
琉夏「コウ、冴えてるな。」
琥一「まあな。 いくぞ、カモが逃げる。」
バンビ「ちょっと、カモって!?」
琉夏「そんじゃ!」
バンビ「(いつか、痛い目に遭うと思う……)」
(3/3)
バンビ「(さて、今日も屋上でお昼をーーん? なんか騒がしいな……)」
???「ガチでやったってば。 バスケ部、スゲェもん、俺じゃ勝てないって。」
男子A「おまえらの言うことは信用できねぇ!」
琥一「メンドクセーな。 勝負なんだからよ、負けることもあんだろーが?」
男子B「試合の後、バスケ部から食券もらったの見たって奴がいんだよ!」
バンビ「あ〜あ……ずるいことするから。」
琉夏「あ、○○ちゃん。」
琥一「おう、いいところに。」
バンビ「…………」
琉夏「ほら、言ってやって。 桜井兄弟は、嘘はつかないよ! って。」
バンビ「え? そうだっけ?」
琉夏「えぇ……」
男子C「前払いの食券10枚、返してもらおうか!」
琥一「はぁ? 食っちまったもんは返せねーなぁ」
琉夏「飴ちゃんやろうか?」
バンビ「付き合いきれません。」
琥一「おい待て、薄情モン!」
男子A「ふざけんじゃねー!」
男子B「開き直ってんじゃねぇよ!」
男子C「返せこのやろー!」
琥一「上等だコラ! やんのかコラ!」
琉夏「じゃあ、2個ずつだ! 2個ずつやるよ!」
バンビ「(ハァ……自業自得だよね?)」
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(1/3)
女子A「兄弟なんだから携帯の番号くらい知らないわけないじゃん!」
???「知らねーよ。 あの馬鹿に直接聞きゃいいだろ。」
バンビ「(あれ?琥一くん?)」
女子B「だって琉夏君、はぐらかして教えてくれないんだもん。 ねぇ?」
女子A「ねぇ? どうしてよ?」
琥一「さあな? テメェらがウゼェからじゃねーか?」
女子A「ヒドーイ! 琉夏君の兄弟とは思えないよね?」
女子B「ホント。 サイアク!」
琥一「なんだと、コラ?」
女子A「コワーイ……もう行こう?」
バンビ「琥一くん!」
琥一「あぁ? ……何だオマエかよ。」
バンビ「今、見てたよ?」
琥一「チッ、見てんじゃねぇよ。」
バンビ「ダメだよ、女子にあんな言い方しちゃ。」
琥一「ウルセー。 俺は男女平等主義だ。」
バンビ「(どうだろ、この態度……)」
(2/3)
バンビ「(もう、予鈴だ。 はぁ、午後の授業か……)」
???「なるほどねぇ……そんで?」
バンビ「(あれ? 琥一くん……)」
男子A「だからよ、コイツが先にぶつかって来たんだ!」
男子B「わざとじゃねぇって言ってんだろ!」
琥一「わかった、わかった。 仕方ねぇな。 じゃ、殴り合え。」
男子A「……え? 殴り合えって、俺らが?」
琥一「ケリつけてぇんだろが? どした? ほら、やれ。」
男子A「いや、でも……」
男子B「……なぁ?」
琥一「なんだよ。 じゃ、景気づけに俺がテメェらぶん殴るか?」
男子A「えっ!? そ、それは……なぁ?」
男子B「お、おぅ……」
琥一「遠慮すんな?」
男子A「いや遠慮っていうか……おい、行こうぜ?」
男子B「おう。」
琥一「チッ、くだらねぇ……」
バンビ「琥一くん。」
琥一「あ? おぉ……○○。」
バンビ「見てたよ?」
琥一「だから見てんなよ……家政婦か、オマエは。」
バンビ「すごい! 喧嘩両成敗だね?」
琥一「まあ、ただの暇つぶしだ。 ほら、昼、終わるぞ。」
バンビ「(琥一くんって、男子たちの面倒見はいいんだな……)」
(3/3)
バンビ「(さてと、次の授業は……)」
???「待て待て……わかんねえ。 もういっぺん、最初からだ。」
男子A「えぇ? またかよ?」
バンビ「(あれ?琥一くん……)」
琥一「そう言うな。 えぇと、まずテメェがよその女にちょっかい出したんだな?」
男子A「だからぁ、それはアイツの誤解でーー」
バンビ「……どうしたの?」
琥一「おぉ! いいところに来た! ちょっと、コイツの話聞いてやれ。」
バンビ「話?」
琥一「なんだか、浮気がバレてフラれんだと。 何とかしてくれってことだ。」
バンビ「ひどい……」
男子A「ぜんぜん違うって! 何を言っても、彼女聞いてくれないからーー」
琥一「じゃ、メンドクセーから別れちまえ、そんな女。」
バンビ「琥一くん、ちゃんと相談に乗ってあげなよ!」
琥一「知るか! じゃあよ!」
バンビ「あ、逃げた! (ふふっ、頼りになる琥一くんも、恋愛相談は苦手なんだ)」
男子A「あのぉ、相談、いいすか?」
バンビ「(しまった……)」
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バンビ「(次は体育。 グラウンドに急がないと……)」
???「おっと!」
バンビ「わっ!」
琥一「おぉ、悪ぃ。」
バンビ「琥一くん。 どこ行くの? もう、授業始まるよ?」
琥一「俺は自習だ。」
バンビ「自習って外で? あ……サボるつもりでしょ!?」
琥一「まあな?」
バンビ「ダメだよ!」
琥一「ウルセー。 じゃあよ。」
バンビ「もう……」
―――――――――――――――――― 間 ――――――――――――――――――
???「こらぁ、琥一! どこ行ったぁ!」
バンビ「あ、大迫先生。」
大迫「おう! 琥一、見なかったか?」
バンビ「それが、自習とか言って外に……」
大迫「ハァ〜 また逃げられたか……」
バンビ「 “また” なんですか。」
大迫「先生、足の速さじゃ負けないんだけどな? ずる賢さじゃ、琥一の方が一枚上だぁ。」
バンビ「なるほど……」
大迫「チクショー! なんとか、奴の先手を打てればなぁ!」
バンビ「(大迫先生も大変だ……)」
(2/3)
バンビ「(えぇと、次の授業は……)」
???「待ちなさい!」
バンビ「はい!? あ、氷室先生……」
氷室「君ではない。 桜井琥一! 君に言っている!」
バンビ「琥一くん。」
琥一「今日は先回りか、氷室?」
氷室「フン、君の逃走ルートは、既に解析済みだ。」
琥一「ククッ、さすが数学のセンセーだ。 かなわねぇ。」
氷室「何を笑う? 来なさい。 授業を受けるんだ。」
琥一「やなこった。」
氷室「待ちなさい!」
バンビ「氷室先生、早く追いかけないと、逃げちゃいます!」
氷室「わかっている。 しかし、廊下を走ってはならない。 待ちなさい、桜井琥一!」
バンビ「(あれじゃ、絶対つかまらないと思う……)」
(3/3)
バンビ「(さてと、次の授業は……)」
???「待て待てぇ、こらぁ! 琥一!」
バンビ「(ん? このパターンは……)」
???「危ねっ!」
バンビ「わっ!」
琥一「おぉ、悪ぃ。」
バンビ「琥一くん! またサボり!?」
琥一「まあな? いいから、どけ。」
バンビ「あ、ちょっとーー」
琥一「オゥ!?」
???「甘い!」
琥一「なんで氷室が……」
大迫「ハッハッハッ! 驚いたかっ! 共同戦線だぁ!」
氷室「桜井琥一。 最早君に勝算は無い。 以後、しっかりと、授業を受けるように。」
琥一「汚ねぇぞ、コラ。」
氷室「大迫先生。 私はこれで。 それから、廊下は走らぬよう。」
大迫「すいませんっ! ありがとうございましたぁ! ほらぁ、来い、琥一!」
琥一「イテッ、放せ! 耳っ!」
バンビ「(2人がかりじゃ、さすがの琥一くんもかなわなかったか)」
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バンビ「さて、午後の授業だ! 教室に戻らなきゃ。」
???「違う違う、まだそこは出ちゃダメだ。」
???「あ? なんでだよ?」
バンビ「(……あれ? 琥一くんと琉夏くん)」
琉夏「だってそれじゃコウのアタマに落ちる。」
琥一「おぉ、そうか。 じゃ、いつ出りゃいいんだよ?」
バンビ「ねぇ、何してんの? 二人して。」
琥一「!? ○○。」
琉夏「ちょっと練習。」
バンビ「練習ってなんの?」
琉夏「大迫ちゃんに黒板消しをーー」
琥一「馬鹿、コイツにしゃべったら、チクられんだろーが?」
琉夏「そっか、危ねぇ危ねぇ。」
バンビ「ん? ……なんか悪巧み?」
琉夏「違う違う。 ぜんぜん違う。」
琥一「おう、違うぞ?」
バンビ「怪しい……」
琥一「おいルカ、そろそろ、授業が始まるな?」
琉夏「いっけね! 遅れちゃう! そんじゃね。」
琥一「オマエも遅れんな?」
バンビ「…………」
琥一「で? どこまでいった?」
琉夏「だからさ、俺が “先生、こっち!” って言うから、そしたらーー」
バンビ「(怪しすぎる!)」
(2/3)
バンビ「お昼も終わったし教室に戻ろっと!」
???「違う。 コウが先に見つかるから、警戒されたんだ。」
???「そうじゃねぇって。 あの受け方はよ、なんつーかもう、技だぞ?」
バンビ「(……あれ? 琥一くんと琉夏くん)」
琉夏「じゃあやっぱりヒムロッチから習ったんだ、黒板消し受けの極意を。」
琥一「なんだそりゃ?」
バンビ「何してんの? また二人で悪巧み?」
琥一「!? ○○。」
琉夏「ちょっとね、反省会。」
バンビ「反省会?」
琉夏「大迫ちゃんのアタマに黒板消し落とそうとしたんだけどーー」
琥一「あの野郎、見事にキャッチしやがった。」
琉夏「そんで、散々黒板消しで叩かれた。」
バンビ「そんな小学生みたいなことするからでしょ……」
琥一「ウルセー。 歳はカンケーねんだよ。」
琉夏「そういうこと。 名誉の問題なんだ。」
バンビ「あっそ。 早く行かないと、授業はじまっちゃうよ?」
琥一「先行け。 俺らはこれから作戦会議だ。」
琉夏「そんじゃね。」
琉夏「要するにさ、手が使えないようにしとけばいいんだ。」
琥一「まあな? で、どうすんだーー」
バンビ「(バカバカしい……)」
(3/3)
バンビ「さてと、お昼も終わったし……ん?」
???「そもそもよ、俺らが急に勉強したくなったっておびき出し方から無理なんじゃねぇか?」
???「そこまではいいんだって。 逆に意外性があって。」
バンビ「琥一くん、琉夏くん!」
琥一「○○。」
琉夏「オッス。」
バンビ「何してんの? また失敗の反省会?」
琥一「ウルセー。」
琉夏「まあね。 デカイ三角定規でケツ叩かれた。」
琥一「大迫のヤロー、ああ見えて手強いぜ。」
バンビ「ねぇ……バカバカしいからもうやめたら?」
琉夏「そういうワケには行かないね。」
琥一「意地ってもんがあんだ。 女の出る幕じゃねんだよ。」
バンビ「失礼しました! 先に行くよ?」
琥一「行け行け。」
琉夏「そんじゃね。」
琥一「なぁ、こうなったらよ、いっそもう、羽交い絞めにしてだなーー」
琉夏「ダメだ。 ポリシーに反する。 あくまで落とさなきゃ。」
バンビ「(付き合いきれません)」
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